東大アメリカンフットボール部ウォリアーズの軌跡   

企業経営と運動部経営― 共通するフィロソフィー

2020-01-01から1年間の記事一覧

ブログ書籍化のお知らせ

この度、本ブログ内容をもとにさらに何章か書き加え、書籍として出版致しました。 私は、ウォリアーズの支援に取り組む中で、ヘッドコーチの森さんが学生を指導、教育する姿勢やその一貫した哲学に深く感銘を受けてきましたが、同時に企業活性化と運動部強化…

第11章 伯楽

今回は最終回。「第11章 伯楽」「岩田真弥さんからのコメント」「おわりに(好本より)」の三部構成になっています。 ■森が目指すゴール 森がウォリアーズのヘッドコーチを引き受けてくれたことに、ウォリアーズの関係者は正直驚きました。どうしても来てほ…

第10章 トップと現場

■プロの指導者としての森清之 ウォリアーズの歴史で、森は初めてプロのフルタイムのヘッドコーチとなりました。 日本のフットボール界でも、プロあるいはプロと同様の扱いを受けている指導者は多くなりました。Xリーグの指導者はプロか、あるいはチームを持…

第9章 ハワード・シュルツの教え

■ハワード・シュルツとの出会い ハワード・シュルツと出会ったのは1998年の半ば、私が45才の時でした。私と同い年の彼がすでに世界的に有名な経営者になりつつあった時です。 当時のスターバックスは、アメリカ市場で事業が軌道に乗り、1990年代に入ると海外…

第8章 リスペクト

前回、「会社で夢中に仕事ができる環境が少なくなった」というお話をしましたが、なぜこうなってきてしまったのか、どうすればここから脱することができるのかについて私自身の考えをご紹介したいと思います。 今回はフットボールのことよりビジネスの話が多…

第7章  執 念

■勝利への執念 ― 森清之が讃えたプレー 2018年度のシーズンが終盤となったところで、6戦全勝のウォリアーズは桜美林戦を迎えます。桜美林大学も6戦全勝、勝った方が来年度TOP8(関東学生アメリカンフットボール連盟の最上位リーグ)への自動昇格が決まるとい…

第6章 森オーガナイゼーション

■レベルの高いチームとしての組織化 ウォリアーズは2019年度のシーズンで部員が190名(選手140名、スタッフ50名)を超え、これにプロ及び学生コーチやメディカルスタッフなどを加えると220名超の大所帯となりました。キャンパスも駒場(1,2年生)と本郷(3,4…

第5章 運動部は誰のもの?

■日本の大学運動部の位置づけ 大学の運動部は誰のものなのか―これは永遠の問いかも知れません。大学、学生、OBOG、父母、連盟、協会等々、大学運動部周辺には数々のステークホルダーが存在します。 大学に所属している運動部なのだから、まずは大学のものだ…

第4章 売った数字か売れた数字か

この章では、私が日本マクドナルドで8年間お世話になった原田泳幸氏から教わり、自分が経営者としての基軸としてきたフィロソフィをご紹介したいと思います。また、原田さん(以下敬称略)が経営を進める時の雰囲気と森がチーム強化を目指し指導する時の雰囲…

第3章 法人の設立

■何が起きていたか きっかけはOBOG会の一部リーダーからの呼びかけでした。 60年の歴史のあるウォリアーズを本当に日本一が狙える強豪にしよう、そのためには優秀なプロの指導者と契約し、その給与や、日本一になるための活動環境づくりに投資できる資金調達…

第2章 「心技体」ではなく「体技心」

■ウォリアーズの強み 「ウォリアーズに必要なのは心技体ではなく体技心だ」とヘッドコーチに就任した森清之は何度も何度も繰り返しました。 ウォリアーズは素人集団です。他の強豪校の経験者、特にスポーツ推薦で入学してくるような一流選手に比べればスター…

第1章 勝つイメージを作れ

■ゴールは何か―明確なメッセージの発信 ウォリアーズに新しい指導者を招聘するにあたり、私たちは「勝てばいい」という姿勢の人には来てほしくないと考えていました。 学生スポーツはあくまでも人間教育の場であり、卒業後社会で活躍できる人材を輩出するこ…

ブログ公開にあたって、その公開を奨めた者より

筆者は東京大学運動会アメリカンフットボール部の支援を目的とした法人(一般社団法人東大ウォリアーズクラブ)の代表理事です。スターバックスコーヒージャパンCOO(最高執行責任者)、日本マクドナルドCAO(上席執行役員)など企業で要職を歴任してきまし…